先月の沖縄旅で、初めて佐喜真美術館を訪れた。
偶然出会った栄町の ギャラリー KIYOKAWAのオーナーさんが
沖縄戦のことを知るには
ひめゆりよりも
僕はここへ行って欲しいと思うと強く勧められた。

宜野湾市にある佐喜真美術館は戦争をテーマにした私設の美術館。
すぐ隣、塀の向こうが米軍基地という立地。
同じ敷地に佐喜真家の大きなお墓がある。
お墓とは気づかない人もいるかもしれない。
沖縄のお墓は子宮を象ったコンクリート製のドーム型である。

写真OKのものを少し。

司修さんの作品も。

最後のお部屋に
原爆の図で著名な丸木俊・位里さんの沖縄戦の大きな作品が出迎えてくれるのだが、
前には椅子もあり、時間をかけて対峙することもできる。
作品はもちろん圧倒的で言葉をなくすのだけれど、
そのお部屋の少し高い位置に、
久米島のおじいおばあの写真がぐるりと飾られている。
ダイビングや青いボトルの泡盛で有名な美しい島で、
日本兵による久米島民虐殺の史実は
あまり知られていない。

https://www3.nhk.or.jp/lnews/okinawa/20250614/5090031817.html

沖縄戦は4人にひとりが命を落としたということは
多くの人が知る事実だろうけど、
その中に、日本軍に殺された人もいることは、
日本ではほとんど語られていない。
戦争が起こるとこういうことが起こるという事例として
爆撃にあう、敵と言われる兵士に殺されるだけでなく、
味方と思っていたはずの武器を持った人は
普通ありえない心理状況が起こるということを
もっと伝えるべきではないのか。
日本軍により導かれ、
マラリアのすむ洞窟へ
避難、疎開と称して
死へ導かれた離島の人もたくさんいる。

https://www.asahi.com/withplanet/article/10835027

沖縄問題という言葉が定着しているけれど、
いつもいつの時代も
沖縄は悪いことは何もしていない。
日本の問題を沖縄を犠牲にして
解決しようとしている。

美しい離島は
日本本土をまもるために
今軍備が着々と侵攻し、
避難のための訓練まで計画されたしている。
これは沖縄以外の人こそ、
知っておかなければならないことなのに、
東京のニュースではほとんど流れない。
今日6月23日は慰霊の日。
今先島諸島では軍備が配置されていて
沖縄の人に負担をかけている的なことが
今朝のラジオニュースではチラッと流れた。
初めて聞いた気がする。
でも全く知らない人には、
どんな負担かは想像すらできない。
公道を戦車が通ったり、
聖地と崇めてきた大事な場所に自衛隊の基地ができたり、
負担どころではない。

地図上、点々とある先島諸島で敵軍を迎え撃ち、
日本を守る計画ですと
もっと報道して欲しい。
そのことを丁寧に取材し、
離島の伝統的な祭りも映した映画「標的の島 風かたか」
ぜひ機会あれば、見てみてください。

宜野湾にライブに行く何万人の中で
佐喜真美術館を訪ねる人は何人いるだろう。
私もようやく行けてよかった。

この美術館の屋上に出ると、
広大な基地の森の向こうに
海が見えるというロケーション。
きっかけは何でも
せっかく沖縄まで来たのなら、
ここまで来て、ぜひ沖縄に触れて欲しい。

佐喜真さんの土地は、ここのお墓も含め基地に没収されたけど、
取り返して、美術館を建てたのだそう。
静かな時間が流れる空間だったけれど、
ひとりふたり、やってくる人はいる。
私の滞在中はすべて異国のアジアの方だった。

以前、帰りの空港で
月桃で巻かれたおにぎりを食べていたら、
美味しそうですねと話しかけてきたご婦人がいた。
月桃のこと(防腐剤の役目をする、肌にもいい植物)を説明すると、
初めて知ったと喜んで、いろいろ話してくれた。
そのときは台風で、私も延泊、
そのかたも延泊になり、
沖縄にはゴルフやライブで(そのときも大物ミュージシャンのライブで来たそう)
何度も来ているが、急遽の延泊で
普段行くことのない場所のホテルに案内されたそう。
そして、初めて(!)沖縄の裏通りを見て、
日本じゃない光景に驚いたと言っていた。
‥というお話に私は心底びっくりした。
沖縄のイメージって、
きれいな海のリゾート地でしかない人もたくさんいるのか??

本土復帰のときの合言葉は「本土並み」だったと
今回、県立美術館での「沖縄の美術」展を見て知った。
でも、結果、本土並みには程遠かったと。

とても悲しい言葉だ。
琉球王国を支配され、戦争で戦地にされ、
沖縄は日本に何度も何度も虐げられてきた。
その日本の他の土地とは全く違う歴史を経てきたことが、
街中にも残っているけれど、
今回行ってみて、
2年前より、新しいマンションやビルが増えて、
「きれい」になって消されてしまった気がした。
あの栄町市場でさえ、商業施設に吸収される計画があるという。

今朝、ラジオニュースで
「うない組」が流れ、たまたま聴けたのが、
嬉しくて長々書いてしまった。
でもほんとうは
もっと書かないとね。

今日はうないぐみを聴いて過ごそう。