年賀状の画像をデータスキャンしながら、
フィンランドの音楽を
東京の曇天を見上げながら聴いている。
このバンドの別のアルバムを
先週の展示会場でかけていたら
ムーミンの国ですね
と言われて
あ、そうかと思う。
もともと、
ムーミンの作者
トーベ・ヤンソンの島暮らしの本を読んで
彼の国に憧れを持ったのだけど
その後
その地に行ったり
言葉を習ったり
毎月のように
大使館配信のアートや文化や
フィンランド人の様々な研究者の
レクチャーを聞いたりしていて
ムーミンという
日本ではキャラクターとして有名なそれとは
ずいぶん離れた印象を持ってるかもと思う。
昨日の配信では
アイヌの言語の研究を北大で続けている
フィンランド女性の研究者だった。
涙が出るほど
胸に響いた。
日本政府がアイヌ言語の普及のために出すお金は
フィンランド政府がサーミ語の保護のために
注いでいるものと比べたら
ピーナッツくらいでしかないと
はっきり言っていた。
一度フィンランドの銀行で働いてから
日本に学びにきたという経歴も
心惹かれた。
夏のフィンランドに行ってたら
ずいぶんイメージは違ってたかもだけど、
日本人にはホッとする暗さが
この国の魅力だと私は思う。
そして自然から生まれた
デザインが
ただ浮かれたものとして
一人歩きしてないのもいい。
この画像は
ヘルシンキの市役所前、
マーケットの出る広場で
もう少ししたら
クリスマスの市で
テントがたくさん並ぶと思う。
その市役所にある
リュート・ブリュックのタイルによる壁画を
朝8時頃
市役所が開庁すると同時に中に入り
しばしじっくり眺めて
フィンランドを出たのだった。
あれからもう5年経つのは
まじで信じられない。
このコロナ禍があらゆる幻想を壊し
しかし可視化し
大きなものと小さなものの世界を
大きく二分したようにも思う。
このときフィンランドに行ってなければ
私は青い絵を描けていただろうか?
そういう仮説はしないことにしているけど
直感を頼りに動けたあのときの自分に
ナイスと言ってあげたい。
この画像の観覧車の下にある
有名なサウナには行っていない。
でもこの広場で見上げた空で
V字の渡り鳥に会えたことは
何よりの奇跡だった。
その市役所壁画の
リュート・ブリユックは
私をフィンランドに連れて行ってくれた
トーベの次にきっかけであった女性アーチストだ。
外国人でも誰でも入れる市役所の
入り口そばに飾られてる
ヘルシンキの地図になっている
陶器のブロックで作られた作品。
東京の美術館で見たときは
少しもピンとこなかったけど
散々街を歩いた後に見上げると、
あー。ヘルシンキだ!
と思えたのもよかった。
ところで
リュートのパートナーは
タピオ・ヴィルカラという
ガラスで有名なデザイナーだ。
ということは最近知った。
北欧雑貨が好きな人には
もしかすると
リュートより有名な人なんだろけど
雑貨から入ってない私も
知ってはいたような気もするけれど
実は
実家に長らくあって
今うちにある
ガラスの大きめな器が
結構タピオっぽいので
びっくりしてる。
いやまさか、と
何度も思ってきたけれど、
来春?大きなタピオ展があるらしく
タピオ作品を目にする機会も増えて
やっぱそうかも??と
思い始めた。
記憶にあるのは
もう結構な子供の頃、
小学生の頃、
母は、大量に茹でたソーメンを
この器にばんっと乗せて
家族5人や
ときにはいとこや近所の子も一緒に
ソーメンをつついた
夏休みの日を思い出す。
その器がタピオ?というのは
なぜ?うちにあった??というのは
七不思議でしかないが
どこからかもらった?のか、
もしかすると
近所の幼なじの男の子のお父さんが
テレビ局の特派員で
ヨーロッパに赴任してときどきテレビでも見かけていたが、
その家庭からのお土産だったか??
母は絵を書いていたけれど
そういう知識は全くなく、
センスもない
と思っていた。
自ら創作することは大好きだったけれど
世間の価値のあるものに
お金をかけるということも全くなかった。
おばあちゃんは
割とブランドに長けていたが
着物やバッグ以外で
そういう知識や興味があったとは考えられない。
この器も
捨てようかと思ったが
ハッとよく見たら、
その美しさに惚れ惚れして
とっておいた。
そのときはフィンランドとは全く
結びついていなかったけれど。
そして
日々主にサラダを入れて
使っている。
素晴らしいのは
とても丈夫なことだ。
タピオを模したものかと思っていたけれど
その丈夫さゆえに
やっぱりタピオに違いない
と思うこの頃。
この大きさのものは
多分珍しい。
けれど
日常に使い続けようと思う。
タピオとリュートが
働いていたアラビアを
尋ねた頃は
実家にこの器があることも
遠く忘れて旅していた。
この展開が私的には
なんかツボ。
つぶつぶが美しいのです。
今のアラビア製品はもう少し
整えられたつぶつぶになっているけれど
これはランダムなところが
力強くもあり
いいのだ。
ママ、これ
実はすごいよ
と天国のママに話しかけても
そんなの古くて重いだけと
全然気には留めてはくれないだろな^^
とうわけで
リュートを見たのと
同じ美術館での
春のタピオ展をとても楽しみにしてる。