水のしわざ

先日、さいたまのとある場所で、美しい水辺に出会った。その川は、私が育った町まで続いてるというのもびっくり。私が住んでた頃は美しいキオクはまるでなく、いつでも冷たい北風がびゅうびゅう吹き荒れていて、荒涼と果てしない気持ちになったことしか思い出せない。

秋の終わりに行けた野の川は、優しかったな。小さい小川がやっぱりすきだ。

暮れのお墓参り、ちょっと奥地で、夏の日のサイダーみたいに気泡がはじけた氷を見た。閉じ込められた泡たちは青春のまま春になるのだ。いいな。

すっかり整えられて、ここはどこだったか忘れたくなるよな隣町の広場の池に、向こう側の世界が揺れていた。やっぱり、パラレルな世界なんてなかったじゃないと思ってたら、こんなところで笑ってた。

あといちにちでことしもおわる。いい年だったと思いたい。知らないうちに映ってた街のあかりがステッチになって泳ぎ出す夜。