博物館の夜

昨年末、それも明日大晦日みたいな日に
京都文化博物館別館での
「博物館の夜」
寺尾紗穂×原田郁子
対バンピアノライブのことを
知り、チケット残りわずかの文字に、
前日まで遠出しているという点で
一瞬迷ったけど、
でも行かないとあの世に行っても
後悔するに違いないと直感で思い、
決めてしまった。

帰ってきてから、この場所は
明治から1965年まで銀行として
使われていたということを知る。
1965年!つまり、私の生まれた年。
それも不思議な感じだ。
そして祖母が働いていた京大病院とは
徒歩30分くらい。
一度くらいは来たことあったのか、
まめに使う場所であったのかは
もう確かめようもないが、
そっか、おばあちゃんに
呼ばれたんだなとなんとなく腑に落ちた。
寺尾さんの誕生日は、偶然にも
私の息子の誕生日と
そして
戦死した祖父の命日と同じ日だった。

もうすでに長いが、
全部話すと何日もかかりそうだし
説明になるだけで
本質は何も伝わらない気がするので
まとめると

このライブで
ふたりは見えない人々のことを話題にし
一緒におどるように
ピアノはうたっていた。
この古くて美しい空間に
目には見えないものの
優しい気が満ち満ちて
喜びの空間になるのが
体感できた。

どんな日常も
見えていることより
見えていないことの方が広く深いのは
当たり前なのだけれど
なかなか気付けず日々が過ぎていく。
でも
あれからは
見えないものへも
もっと語りかけ
いきとしきいけるものと
見えないものも
喜びに溢れる世界になったらいいのにと
考える
というか
感じるようになった。

あれから、
沖縄栄町ひめゆりホールの屋上から録音された音が入っている
郁子ちゃんのアルバム「いま」に浸っていて、
イメージが広がり、
日々、救われています。

寺尾さんは文章も素晴らしい。

昨年はたくさんの女性の方の作品に
勇気をもたった一年だったけど、
年明けからうれしい出会いが連続の
音霊の旅だった。

見える人たち
見えない人たち
ありがとう。