この度今回の展示の顔として
DMに登場してもらった又三郎くん。
風の又三郎ね!
と思った方も多いと思います。
DMを作ってくれたのは、
4人の中のお一人
鹿子木美(かのこぎ みま)さんで、
広島在住の作家さんです。
いろんな技法に、CGもなされているそうで、
DM制作をお願いしてしまいました。
昨年末に画像を送る締め切りのちょうどその頃に
出来立てホヤホヤの又三郎くん。
描き始めたときはそんなことは
あまり考えてなかったけど、
ちょうど正面向いてるし、
来てきて〜見てみて〜とみんなを誘ってもらおうと
看板役を託しました。
送ったのはこの画像の足元まで。
それでも原画の右半分です。
(左側はお楽しみに!)
ご存知の方も多いと思いますが、
ナゾの転校生高田三郎君のおはなし
「風の又三郎」は数ある賢治作品の中でも
有名中のチョー有名作品です。
私も子供の頃、NHKの少年ドラマシリーズで見たのが、
強烈な印象で残ってます。
「又三郎、飛んでっちゃうべ」というセリフ。
谷川の小さな小学校が舞台で、
窓ガラスがガタガタ鳴る二百十日の日に
突然また転校していなくなってしまったことや
ドラマ中の歌
♪どっどど どどうど どどうど どど〜
すっぱいかりんも 吹き飛ばせ〜
のメロディも
今でも秋なると頭ん中流れます。
大人になって読んだ風の又三郎は、
実は特に印象的ではなかった。
というか、とてもよく構成されていて、
なんというか、賢治作品にしては珍しく、
きれいに整えられて完成されていて。
物語がきちんとできてる分、
衝撃的な印象は、他の賢治作品ほどなかったのです。
今回展示のお話を頂いてから、
ちくまのシリーズ全巻セットを再購入して、
読み始めました。
昔読み損ねたものから順に。
ふと目についた「風野」の文字。
え?となって。
又三郎の先駆形?あったんだー。くらいに。
銀河鉄道は先駆形も何度も読みました、
もう30年以上昔に、ですが。
でも、又三郎に先駆形があったことは、
なぜか完全抜けてました。
そして読み始めたら、どうでしょう!
全然違うのです、高田三郎くんとは、
‥トーンが。
二百十日に去ってしまうことも同じ、
舞台がその前あたりの季節なのも同じ。
小さな小学校も同じ、そばに栗の木があるのも同じ。
でも、ナゾの転校生
高田三郎くんじゃない。
風野、と、人間みたいな名前ですが、
風野又三郎は、完全に、風のコ、風の精として、
登場します。
高田三郎より、ずっといたずらっ子で、
お茶目で、ヤンチャで、
感情もアップダウンがあって、
人間臭い。
けど、
風が仕事の風の精は、
世界中を飛んで回ってるのです。
作風では、「かけて」と言ってます。
世界中をかけ回ってるのです!
英国や上海、北極、南極、アラスカ、、、オーロラやテッデーベーアー(白熊)も出てきます。
壮大で爽快な旅の話を
小さな学校の子供たちに自慢げに話すのです。
今このコロナ禍のタイミングで読んだ風野くんの走りっぷりに
すっかり魅了されました。
風の又三郎よりずっとスピーディで生き生きとしてる物語にまた、
作品を作るときの注意点というか
整えていくうちに忘れそうになる初心みたいな気持ちのことを
思い出し、はっとさせられたりもしました。
しかし、賢治さんの時代に、
オーロラとは!
世界に関心があったのですね。
岩手のことをイーハトーブと呼び名をつけるほど
愛していたのに、
情報もあまりないだろう時代に
すごいなあという思いと、
共感と、、
いろんな熱い思いが込み上げて、
でも又三郎は有名すぎるから
避けようかと思いながら、
エスキース見てるうち、
やっぱり描かなければいけないような気になって
見えないものに迫られるよに
描きました。
そしたら、
星占いでは
風の時代が到来したとかで、
タイムリーでした!
ともあれ、
鹿子木さんに画像をお送りしたら、
賢治らしい作品だから、メインにしてDM作りますね、
と言っていただけで、うれしかったです。
すでに、風野くん、よくやった的な気分ですが、
DMはキャラクターと背景を合成してもらてって、
原画はこのように風野くんと木は重なっていません。
そして、左半分があります。
全貌はまた後日!
逢いにいただけたら幸いですが、
来れない方にも、後日解禁いたしますね。
F6の大きさのキャンバスに描いています。